本部長は慇懃無礼
 車から降りた京子たちの目の前には明らかに桁違いの豪邸が待っていた。


「これはホテルですか?」


「いや。俺の実家。蔵見グループの会長の家だ」


「実家? 会長? 一体どういうことですか?」


 京子は情報過多で頭が追いつけなかった。


「中でゆっくり話そう」


「……はい」


 小池は京子を連れて豪邸へと入って行った。




 玄関を入るとお手伝いさんが出迎えてくれた。


「裕太様、お久しぶりでございます」


「佐藤さん、お元気にされてましたか?」


「はい。お陰様で元気に過ごしております」


 お手伝いさんと穏やかに話す小池をみて京子は不思議に思った。


こんなに良い人そうなのに何で私が初めて会った時は冷たかったんだろう。


「京子さん、こちら佐藤さん」


「初めまして。山田京子です」


「佐藤と申します。何か困ったことがございましたら、何なりとお申し付けください」


「ありがとうございます!」


「佐藤さん、俺の部屋にお茶とお菓子をお願いします」


「かしこまりました」


 小池は京子の手を握り自分の部屋へと向かう。
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