夜華の先に
まだ、私が中学3年生になる前の冬。

黒爽はまだ、全国2位の暴走族だった。

その日はとても寒かった。

そんななか、中学校の帰りを仲良くすーちゃんと帰っていた時。


隣を歩いていたはずのすーちゃんが急に私の視界から消えた。

最初はこけたのかと思った。でも、違った。


「えっ、!」

そう口に出して、後ろを向いた時には、すーちゃんが真っ黒な服を着たたくさんの人に連れ去られていた。

見えるのはすーちゃんが朝自慢してくれた、赤い靴だけ。

私は急いで追いかけた。

怖かった。

また。お母さんとお父さんのように、私の目の前から大切な人がいなくなってしまうことが。


必死に追いかけて追いついた時にはすーちゃんが乗った車が走り出してしまっていた。

ハァハァ

息切れが止まらない…


目から涙も止まらない。

走りながら泣いたから顔も、髪もすーちゃんに綺麗に巻いてもらったマフラーも、ぐっちゃぐっちゃになっていた。
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