ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 気分が落ちたまま仕事へ向かおうとしていた時、史悠さんから電話がかかってきた。出張先でもこの件について対応しているだろうし、連絡は来なくても仕方ないと思っていたから、少しだけほっとする。

 スマホを耳に当てると、いつにも増して硬い声が聞こえてきた。

『依都、ニュースは見たか?』
「……はい」
『嫌な思いをしただろう。すまない』
「史悠さんはなにも悪くないですよ!」

 即座にそう返したものの、一瞬ひねくれた思いが頭をよぎる。謝るようなことがあるの?と。

 いや、なにを考えているの私は。史悠さんは裏切るようなことをする人じゃない。私だけを愛してくれているって、一緒に過ごしてきて十分わかっているのに。

 頭を振って、疑心はすぐさま掻き消す。不安になったらダメだ。

『彼女が勝手に言っているだけだし、俺は芸能人じゃない。つきまとうような記者はいないだろうから大丈夫だと思うが、一応マンションを出る時は気をつけてくれ』
「わかりました」

 史悠さんは要点だけを言い、通話はあっという間に終了した。声を聞けただけよかったものの、心の中は依然すっきりしない。

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