ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 欲しがるものをすべて与えられてきた楽くんは、自分が欲しいと言えば、結果的にママのものになると思ったのだろう。なんていじらしいの……。

 胸が締めつけられるのを感じていると、彼は今度は眉を下げて「でも」と続ける。

「ぼくは、ママがいればいい。ふたりでえをかいたり、おしゃべりしたり、いろんなとこいきたい」

 ママとふたりでいたいというのが、楽くんの本音なのだ。

 たぶん風柳さんは気づいていない。それを教えてあげたくて、楽くんに提案してみる。

「楽くんのその気持ち、ママに伝えたらどうかな。〝僕は本当はこう思ってるよ〟って、お話しするの」
「……がまんするのもだいじ、ってしゆーがいった」

 どうやら史悠さんが教育していたらしく、ちょっと混乱してしまっている。史悠さんの言うことを素直に聞いていたんだなと感心し、「そっか。それで我慢してたんだね。えらいね」と頭を撫でた。

 どう伝えたらいいものかと悩むも、最終的にここはフィーリングだ!と大雑把になる。

「難しいけど、我慢しなくてもいい時があるの。今がそうなのよ」
「……ママ、おこるかも」
「大丈夫。私が一緒についていてあげる」

 楽くんのそばにしゃがみ、小さな手をそっと握って微笑みかけた。年は全然違うのに、彼が自分と重なって見える。

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