ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 上辺だけの謝罪ではなく、母が本当に反省しているのは伝わってくるのに、私はなぜか怖いくらい冷静になっていた。

「……今でも覚えてる。四歳の誕生日の前日に、お母さんがいなくなったこと」

 硬い声で話し出すと、母がビクッと小さく震える。思い出したくもなかったあの日のことを、こうして人に話すのは初めてだ。

「なにか用事があっただけで、誕生日になったらプレゼントみたいに会いに来てくれると信じてた。でも、お母さんを見たのはその日が最後で。お祖父ちゃんたちが代わりにお祝いしてくれたけど、ずっと申し訳なさそうな、悲しそうな顔をしてた」

 史悠さんが切なげな顔でこちらを一瞥する。

 そう、彼と出会ったあの日は、私にとっては一番つらい日だったのだ。凛くんたちもいなくて寂しさに拍車がかかっていたから、思いがけず史悠さんが祝ってくれて余計に嬉しかった。

「それから誕生日なんて嫌いになったし、自分は望まれて生まれてきたわけじゃなかったんだって失望した。毎日お母さんに髪を結んでもらってる子も、遊びに行くとお母さんがおやつを出してくれる子も、皆が羨ましくて仕方なかったよ」

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