ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 冷静だったはずが、徐々に声に憤りが表れ、悔しさで顔が歪む。母が今にも泣き出しそうなほど苦しげにしているのに、思いを吐き出すのを止められない。

「ねえ、私のなにが嫌だった? どうすれば、愛してもらえてたの?」

 私の目にも涙が込み上げ、母の姿がぼやける。あの時からずっと、私は母にこれを聞きたかったんだ。

 母はついに涙を溢れさせて、ぽつぽつと語り始める。

「……お父さんが亡くなってから、私はずっと無気力で、かと思えば少しのことでイライラして、あのまま一緒にいたら依都に手をあげてしまいそうで怖かった。あなたを愛しているのは間違いないのに、誕生日を祝いたいとも、可愛いとも思えなかった自分は、母親失格だと言い訳をして逃げ出したの」

 包み隠さない母の本音は、想像以上に胸をえぐられる。ノイローゼで仕方なかったと理解していても、受け止めるのは結構しんどい。

 唇を噛みしめていると、彼女は涙ながらに「でも」と続ける。

「離れてから愛しい気持ちが戻ってくると、後悔しか残らなかった。どうしてもっと耐えられなかったのか、なんでこの選択をしてしまったのかって毎日考えてた。一日もあなたを忘れたことなんてない」

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