ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
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結婚式から約九カ月後、梅雨の雨に濡れた満開の紫陽花が美しい日に、元気な女の子が産まれた。
破水してからもなかなか陣痛が来なくて促進剤を使ったこと以外は、比較的順調な出産だったらしい。なにもかも初めてだから戸惑ってばかりだったが、史悠さんが立ち会ってくれたのはかなり心強かった。
慣れない育児に奮闘しているとあっという間に月日が経っていて、現在娘は生後二カ月を迎えたところ。
ベビーベッドの上で手足をじたばたと動かしながら、こちらをぽうっと見つめる。その姿を眺める私と史悠さんの顔も、ふにゃっと締まりがなくなっている。
「どうしよう史悠さん。めちゃくちゃ可愛い」
「俺たちのミニチュアなんだから、可愛いに決まってる」
私たち夫婦のやり取りは毎日こんな感じだ。同じことばかり言っているので語彙力がなくなっている気がしてならない。
愛せないかもしれないと、ずっと感じていた恐怖はなんだったのだろうと思うくらい、わが子が可愛くて仕方ない。史悠さんもすっかり子煩悩と化していて、家庭限定で鬼の面影はどこへやら、といった調子だ。
私たちが夕飯を終えた頃、タイミングを見計らったかのごとくぐずり始めたので、柔らかな身体を抱き上げて優しく揺らす。