ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「あの人、お酒が入っていたせいであんな態度になっていただけで、悩んでいるのはたぶん本当なんだと思ったんです。ガサガサの手を見れば、一生懸命お酒を造っているのはわかりましたから」

 御鏡さんは同意するように軽く頷き、なんとなく意味ありげな瞳をこちらに向ける。

「そこまで理解があるのは、酒米農家のお祖父さんのおかげか」

 彼の口から出た言葉に、私は目を丸くした。

 祖父は確かに新潟で酒米を作っている。人手不足や高齢化が進んで農家の数が減っている中、祖父はわりと大きな規模の田んぼを所有して安定した生産を続けている。

 しかし、どうしてそれを御鏡さんが知っているのか。

「君のお祖父さんが作っている酒米を、三年ほど前からウチで使わせてもらっている。会った時、嬉しそうに君の話をしていたよ。『いつまで経っても孫が可愛い』って」
「そうだったんですか!? お恥ずかしい……」

 そんなに前から祖父が天下の御鏡酒造にお米を提供していたなんて、知らなかったから驚きだ。私が上京して以来、里帰りは度々しているものの、そこまで詳しい仕事の話はしないから。

< 33 / 249 >

この作品をシェア

pagetop