ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「飲まず嫌いな人には、最近の新しいタイプのものを一度飲んでもらいたいです。私も初めて御鏡酒造のお酒を飲んだ時、こんなに美味しい日本酒があったんだ!って衝撃を受けたので」
「それはよかった。そう言ってもらえると、俺たちだけじゃなく、君のお祖父さんのような農家の人たちも報われる」

 御鏡さんはどこか満足げな様子で、クリアなお酒を軽く口に含む。

 彼の言葉は胸に響くものばかりだ。それはたぶん、彼自身が誠心誠意仕事に向き合っているからじゃないだろうか。

「御鏡酒造のお酒がたくさんの人に愛されるようになったのは、きっとあなたが社長だからなんでしょうね」

 尊敬の気持ちも込めてふわりと笑みを浮かべる。彼は一瞬目を見張った後、ほんの少しだけ照れたようにまつ毛を伏せ、口角を上げた。


 あっという間に時間が過ぎ、気がつけば午後十時になろうとしていた。ほとんどお互いの仕事とお酒の話で終わってしまったが、同じ熱量を持ってこんなに語れたのは久しぶりで、すごく楽しかった。

 帰る前にお手洗いに行き、もう予定はないというのにメイクと髪を軽く直して御鏡さんのもとへ向かう。いい感じに酔っ払って、身体がふわふわしている。

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