ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 支払いは、自分の分は自分で払うと食い下がったのだが、御鏡さんが一瞬怖い顔をしたのでお言葉に甘えることにした。今日は彼に感謝しっぱなしだ。

 ふたりでレストランを出ると、冷たい空気が肌を刺す。それもたいして気にならないほど、今の私は上機嫌になっている。

「お酒も料理も美味しかった~。ごちそうになってしまってすみません。なんか私だけ飲んでいたような……」
「気のせいだ」

 間髪を容れずに返した御鏡さんは、相変わらずクールな表情だけれどほんのり頬が紅潮しているように見える。おそらく彼も多少酔っているのだろう。

 私ばかりおかわりしていて、彼は一合くらいしか飲んでいない気がしたのだが、気のせいだったか。

 駅が近いので、そこでタクシーに乗ろうと歩き出した時、私たちのそばに一台の乗用車がゆっくり近づいてきて停車した。

 不審に思う私の隣で、御鏡さんは小さく「うわ」と呟いた。とても嫌そうに。

 直後、助手席の窓が下がって運転手が顔を覗かせる。御鏡さんと同じくらいの年の男性が、こちらを見てギョッとしている。

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