ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「新種の米を作るってなると、今まで以上に労力がかかるからな」
「ああ。人手が足りないことが一番の原因だが、花菱さんも歳だし、今から新しいことをしようって気にもならないんだろう。別の農家をあたったほうがいいか……」
ため息交じりに言うくらい、父は花菱さんを贔屓にしている。これまで取引してきたどの農家よりもこちらの意見を理解し汲み取ってくれて、かつ米作りには妥協しない。俺も時々会っているが、そういう姿勢が尊敬できる人だ。
だから今回の試みも相談しているのだが、花菱さんが難色を示すのも無理はない。確か以前にも彼の跡を継ぐ人がいないと話していたし、先のことを懸念してこの件を承諾するのをためらっているのかもしれない。
日本酒が揺れる、繊細なカットが施された江戸切子を見るともなしに眺め、少々思案してから問いかける。
「花菱さんって、若い人を育てることは好きか?」
「わりと熱心なほうだと思うぞ。たまに農業高校の学生の研修を受け入れたりしてる。人がいいから、若い衆も花菱さんのこと気に入ってるしな」
「そうか……。なら、ひとつ考えがある。俺が花菱さんに直接交渉してみるよ」
そう告げてぐい吞みを口に運ぶ俺に、父は一瞬キョトンとした後、「さすが社長」と冷やかして口角を上げた。
「ああ。人手が足りないことが一番の原因だが、花菱さんも歳だし、今から新しいことをしようって気にもならないんだろう。別の農家をあたったほうがいいか……」
ため息交じりに言うくらい、父は花菱さんを贔屓にしている。これまで取引してきたどの農家よりもこちらの意見を理解し汲み取ってくれて、かつ米作りには妥協しない。俺も時々会っているが、そういう姿勢が尊敬できる人だ。
だから今回の試みも相談しているのだが、花菱さんが難色を示すのも無理はない。確か以前にも彼の跡を継ぐ人がいないと話していたし、先のことを懸念してこの件を承諾するのをためらっているのかもしれない。
日本酒が揺れる、繊細なカットが施された江戸切子を見るともなしに眺め、少々思案してから問いかける。
「花菱さんって、若い人を育てることは好きか?」
「わりと熱心なほうだと思うぞ。たまに農業高校の学生の研修を受け入れたりしてる。人がいいから、若い衆も花菱さんのこと気に入ってるしな」
「そうか……。なら、ひとつ考えがある。俺が花菱さんに直接交渉してみるよ」
そう告げてぐい吞みを口に運ぶ俺に、父は一瞬キョトンとした後、「さすが社長」と冷やかして口角を上げた。