ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
 俺たちのやり取りを隣で静観していた叶芽が、話が途切れたところでこちらに身を乗り出す。ふんわりとウェーブを描くボブの髪が揺れ、俺と同じく母に似た二重の瞳で探るように見てくる。

「お兄ちゃん、仕事もいいけど結婚も考えてるの? 今時三十一歳で結婚してない人は珍しくもないけどさ、せめて彼女くらい作りなよ。私のためにも」

 またその話か、とややうんざりするも、最後のひと言が引っかかって眉をひそめる。

「叶芽のため?」
「そう。お兄ちゃんに彼女がいないせいで、未婚の友達から『お兄さん、彼女いないなら紹介して!』ってめちゃくちゃ言われるの。ここ数年特に多くなってきて面倒なんだよね。なんとかして」
「それは俺がなんとかしなきゃいけない問題なのか……?」

 なんとも理不尽な理由に、俺は口元を歪ませた。

 叶芽の周りの女性は年齢的に結婚を考えるものだろうが、俺を指名されても困る。こちらに気がないのに会ったところでなにも進展しないと思っているので、もちろん婚活などもしていない。

 しかし、俺の結婚を望んでいるのは両親も同じだ。

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