ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「……仕事のためじゃなくなった」とぽつりと返す俺を、波多野がやや驚きを含んだ瞳でミラー越しに見やる。

「花菱さんとの約束はもちろん果たしたいと思ってる。ただ、彼女に会いたいというのが業務の一環じゃなくて、男としての本能に変わっただけだ」

 偽りない言葉を紡ぐと、波多野は天を仰ぎそうになりながら叫ぶ。

「あまーい!」
「だからどこが」
「社長にしたら甘いでしょ! 男としての本能とか、あったんだ!って感じですし」
「お前、俺をなんだと思ってんだ」

 いくら浮いた話がないからって、人を不能者みたいに……。俺だってそれなりに欲求はあるし欲情もする、普通の男だ。

 なんとか興奮を抑えた波多野は、依都さんを思い返しているのか感心するような笑みを浮かべる。

「まあ確かに、社長のことを怖がらずに自然体で接してくれる人は貴重ですもんね。特に女性で。社長のルックスに目をハートにして寄ってくる子は、だいたい冷たくされたら尻尾巻いて逃げちゃうし」
「近づいてこないようにしてるからな」

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