ドSな御曹司は今夜も新妻だけを愛したい~子づくりは溺愛のあとで~
「……私、醜い顔になってましたか?」
「どちらかと言うと苦しそうだ」

 水槽の明かりで照らされる彼女の白い頬に、手を伸ばしてそっと触れる。

「柄にもないことを言うが、依都には笑顔が一番似合う」

 歯の浮くようなセリフが自然に口からこぼれて、なんだかむず痒くなった。波多野の言う通り、俺にしては甘すぎる。

 しかし彼女の表情は徐々に柔らかくなり、苦悩が薄れていく。彼女の心に巣食う闇が、いつか綺麗に晴れてほしい。

 視線を絡ませていたその時、どこからか着信らしき音が聞こえてくる。また依都に電話がかかってきたらしく、彼女は苦笑を漏らしてバッグからスマホを取り出した。

「す、すみません」
「毎回絶妙なタイミングでかかってくるな」

 本音の不満をこぼしつつも、出るように促す。まあ、あのままだったらキスしたい衝動に駆られていたかもしれないし、ストップをかけられてよかったと思っておこう。

 そんな風に惚けながらクラゲを見上げ、邪魔にならない場所に移動して電話する彼女を待っていた。

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