Crazy for you
「お邪魔しました」
「あら、帰るの?」
「はい。またゆっくり来ます」
ママの言葉に孝ちゃんは愛想のいい笑みを浮かべてそういった。
「待ってるね」
にこにこ上機嫌にママは見送って、私も外まで見送りに行く。
「じゃあ帰ったら連絡する」
孝ちゃんはそういって、ぎゅっと抱きしめてくれた。
なんだかすごく彼女っぽくて嬉しかった。
「……あのさ、孝ちゃん。今更なんだけど聞いてもいい?」
幸せを感じながらもう一つ引っかかっていたことを思い出して問いかけると、なに?と優しく聞いてくれる。
「あのとき、なんで彼女って紹介してくれなかったの?」
ショッピングモールでサークルの人達に会った時に、ごまかしたのはなんでなのか、やっぱり私には分からなかった。
「ああ、ショッピングモールの? 香帆をみんなに見せんのが嫌だったからだよ」
「え?」
「彼女っていったら、写真見せろだの馴れ初めなんだのうるさいだろ? あいつらに香帆見せたらへる」
へるって…。
わたしはおかしくて思わず笑ってしまった。
「香帆、自覚してないのかもしれないけど、めちゃくちゃ可愛いから。ライバルは少ない方がいいの。ごめんね、俺心狭いから」
可愛いという言葉はやっぱり嬉しくて、胸がきゅんきゅんする。
そして、そんな孝ちゃんも可愛い。
「ふふ」
「でも香帆が嫌ならちゃんと彼女っていう」
「私は、孝ちゃんが大学でモテると思うから彼女はいるっていってほしいな」
孝ちゃんは上半身だけ離して、私をみて、嬉しそうに笑った。
「可愛い」
「恥ずかしいよ」
「そんなとこも可愛い」
この一ヶ月とのギャップがありすぎて、今後心臓がついていくか私は少し心配になるのだった。