アンハッピー・ウエディング〜後編〜
何事だよ、これは。

誰だ?うちの寿々花さんを泣かせた馬鹿は。

ちょっとここに連れてこい。口の中にデスソース捩じ込んでやるから。

「ど、どうしたよ?誰があんたを泣かせたんだ?」

「…悠理君…」

俺でした。

分かった、後で自らデスソース舐めます。

って、そんな冗談を言ってる場合か。

「俺…俺が悪いのか?俺、あんたに何か悪いことしたか…?」

「…」

「何のことか分からないけど…。あんたを傷つけたんなら、ごめんな。俺が悪かった。謝るよ」

「…」

「だから…泣くのはやめてくれないか…?」

…目の前で寿々花さんに泣かれると、どうにもこう…。

…居ても立っても居られないって言うか…。

小さい女の子が、道端に座り込んで泣きじゃくってるのを見たらさ。

何としても泣き止ませて、助けてあげたいって思うだろ?

それと同じ。

「…うん」

寿々花さんは、ポロポロと流れる涙を拭った。

よし、そう。偉いぞ。泣かないでくれ頼むから。

頑張って泣き止んでくれ。

「…で、どうした?何があった?」

「…ハロウィンパーティーのこと…」

やっぱりハロウィンのことなのか。

「何か困ったことでもあるのか?」

寿々花さんが落ち込んで蹲って、泣き出すような困ったことが?

すると。

「…あのね、私、ハロウィンパーティー出来ないの」

…えっ。

寿々花さんがここまで落ち込むんだから、多分ハロウィンパーティー絡みなんだろうなとは思ったけど。

…出来ないっていうのはどういうことだ?

「楽しみだったのに…無理なの」

くすん、と涙目の寿々花さん。

ちょ、泣き出すのはやめてくれよ。

「でも…何で無理なんだ…?」

あれか?なんか…宗教的な理由?

ハロウィンって宗教なのか?知らんけど。

「ハロウィンの日ね…。ハロウィンの四日前からなんだけど…」

「四日前から?」

「修学旅行に行くから、日本にも、お家にも居られないの」

「…」

…これには、俺も呆気に取られてしまった。

…修学旅行?マジ?
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