アンハッピー・ウエディング〜後編〜
で、そんなハロウィンパーティー当日。

俺はその日、いつもより早めに起きて。

家の中、特にリビングを飾り付けした。

放課後にハロウィンパーティーをやるなら、今のうちに準備しておかないとな。

すると。

「悠理君が楽しそうなことやってるー」

「あ、おはよう…」

俺の古ジャージ姿の寿々花さんが、とことこと降りてきた。

「ごめん。騒がしかったか?」

「ううん。何だか楽しそうな匂いがして、目が覚めちゃった」

犬か?あんたは。

「ハロウィンパーティーの飾り付け?」

「そうだよ。色々押し付けられちまって…」

飾り付けの小道具は、全部雛堂に借りた。

曰く、雛堂の家のチビ共…つまり弟さん達が、自宅でハロウィンパーティーをやった時の余り、だとか。

どれも百均で買ったようなオーナメントだったけど、ホームパーティーならこれで充分。

かぼちゃのステッカーやシールを貼ったり、バルーンを飾ったりしていると。

途端にハロウィンっぽい雰囲気が出るの、凄いな。

「わーい。楽しそう。私もやるー」

寿々花さんが喜んで、飾り付けを手伝ってくれた。

有り難い。

「じゃあ、こっちは頼んで良いか?俺、ケーキの準備をしておくから」

「うん、分かった。飾り付けは任せてー」

よし、じゃあ任せるぞ。
 
その間に俺は、ハロウィンケーキの準備をしておこう。

焼き立てを食べたいから、焼成するのは放課後、家に帰ってからやるつもりだが。

それまでに、下拵えくらいはな。

「悠理君。ツリー、ツリーはないの?ツリーは飾らないの?」

かぼちゃや黒猫のオーナメントを両手に握って、寿々花さんが聞いてきた。

「クリスマスじゃないんだから、ツリーはないだろ…」

「そっか。残念だなー…。ハロウィンにもクリスマスみたいに、ハロウィンツリーがあれば良いのに」

それは…それで面白そうだけど、でもハロウィンツリーはないんだよ。

その代わり…。

「乙無…俺の友達の邪神の眷属の方が、ジャックオーランタンを用意してくれるらしいぞ」

「えっ。本当?」

「あぁ。だからそれがツリーの代わりな」

「やったー。楽しみ」

両手を上げて万歳して、喜びを表す寿々花さんである。

良かったな。

既にハロウィンパーティー、存分に満喫していらっしゃる。

「学校が終わるの、待ち切れないねー。いっそ今日はサボっちゃおうかな」

「…学校1の秀才の台詞かよ、それが…」

まさか、サボる動機が「ハロウィンパーティー」とは。

そんなことでサボらなくて良いから。授業には真面目に出なさい。
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