アラフィフ・ララバイ
「そうですよね。私も詩織さん見習わなくちゃ」
「そうよ~。私的にはアラフィフは、一番女として磨きがかかって、芳醇な魅力が増す時期だと思ってる」
「はは、物は言いようですね。詩織さんにそんな風に言われたら、もうちょっとがんばろうかなって思えてきちゃいます」
ロッカーの鏡に映る、自分の額に張り付いた前髪をかきあげる。
詩織さんは更衣室に二人だけなのを確認するように辺りを見回すと、私の耳元で小さく言った。
「私ね、実は小さな劇団に入ってるの」
「劇団!?」
思わず大きな声が出てしまった私に、詩織さんは慌てて「しー!」と人指し指を立てた。
「この話、職場で話したの内田ちゃんが初めて。誰にも言わないでね」
詩織さん。
よくみたら目元もきれいにアイシャドウしていて、きらきらしてる。
まつげも、くりんと上にカールして。私も二十代の頃、ビューラーなんて当たり前にしてたっけ。
それに詩織さんは私より十も年上なのに、目の回りに小じわなんて微塵もない。
私なんて仕事終わり鏡みたら、ゾウの皮膚みたいにしわしわなのに。
詩織さんって......。
あらためて観察すると、やっぱりきれいだ。
そのきれいな理由の謎の一つが今解けたような気がした。
「女優さんなんですね。詩織さんて」
言いながら、大きく息を吐いた。
ため息ではなく、ある意味感嘆とでもいうべきか。
「そうよ~。私的にはアラフィフは、一番女として磨きがかかって、芳醇な魅力が増す時期だと思ってる」
「はは、物は言いようですね。詩織さんにそんな風に言われたら、もうちょっとがんばろうかなって思えてきちゃいます」
ロッカーの鏡に映る、自分の額に張り付いた前髪をかきあげる。
詩織さんは更衣室に二人だけなのを確認するように辺りを見回すと、私の耳元で小さく言った。
「私ね、実は小さな劇団に入ってるの」
「劇団!?」
思わず大きな声が出てしまった私に、詩織さんは慌てて「しー!」と人指し指を立てた。
「この話、職場で話したの内田ちゃんが初めて。誰にも言わないでね」
詩織さん。
よくみたら目元もきれいにアイシャドウしていて、きらきらしてる。
まつげも、くりんと上にカールして。私も二十代の頃、ビューラーなんて当たり前にしてたっけ。
それに詩織さんは私より十も年上なのに、目の回りに小じわなんて微塵もない。
私なんて仕事終わり鏡みたら、ゾウの皮膚みたいにしわしわなのに。
詩織さんって......。
あらためて観察すると、やっぱりきれいだ。
そのきれいな理由の謎の一つが今解けたような気がした。
「女優さんなんですね。詩織さんて」
言いながら、大きく息を吐いた。
ため息ではなく、ある意味感嘆とでもいうべきか。