妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
 百瀬くんの家の行きつけとあって、やっぱり高級レストランなのだろう。

 オシャレなカフェやレストランに疎い私はこの店の存在を知らず、妙に構えながら百瀬くんに続いて店内へと入ったのだけれど、

 意外にも、ファミリー層の多いレストランで、私のような一般のお客さんばかりだった。

「これはこれは荒木田様、いつもありがとうございます。すぐにいつもの部屋をご用意致しますので、こちらで少々お待ち下さい」

 ただ、やはり皆と同じように席に着くのでは無く、いつも使う個室があるらしく、責任者らしき人が百瀬くんにそう言ったのだけど、

「ああ、いいんだ。今日は普通の席に案内してよ」

 それを断り、皆と同じ席に案内して欲しいと言う。

「ですが、まだ二組もお待ちになっておりますし、荒木田様をお待たせする訳には……」
「いいって。亜夢、少し待つけどいいよね?」
「あ、うん、私は全然大丈夫だけど……」
「ね? 連れも大丈夫って言ってるし、頼むよ」

 お店側としては、百瀬くんを一般客と同じように待たせる事は不本意な事なのだろうけど、彼は頑なにVIPルームに案内される事を拒んでいたので、

「畏まりました。それではこちらの席でお待ちになって下さい」

 結局店側が折れて、私たちは席が空くのを待つ事になった。

「百瀬くん、良かったの?」
「何が?」
「その、いつも案内されるお部屋があったみたいなのに……」
「ああ、良いんだよ。家族で来る時は仕方ないけど、俺、そういう特別扱いとかあんまし好きじゃないからさ、親とかが居ない時は普通に扱ってもらいたんだよね。ここに来るとこういう扱いされるのは分かってたけど、ここの料理はどれも美味しいからさ、亜夢にも食べて欲しかったんだ。それに、特別扱いされたら亜夢は畏まってあまり楽しめなくなるでしょ? だから普通の席でいいんだ」

 特別扱いされるのが嫌いなのも本当だろうけど、恐らく一番の理由は私を思っての事だったんだと知って、嬉しくなる。

 やっぱり百瀬くんは優しい。

 百瀬くんが私の彼氏で本当にいいのかと思うくらい、私には勿体ないくらい素敵な人だと改めて思った。
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