妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
 それから暫く待ってようやく席に着いた私たちがいくつか料理を注文すると、どこのテーブルよりも先に料理が運ばれて来た上に、頼んでいない物まで用意された。

 それには百瀬くんも戸惑っていたけれど、それはやはり店側として、本人は良いと言ったものの荒木田家の人間を待たせてしまったという罪悪感から、せめてもの気持ちだったのかもしれない。

 そんなお店の意図を何となく理解した私は何か言いた気な百瀬くんを宥めつつ、食事の時間は終始和やかに過ぎていき、沢山の美味しい料理を堪能する事が出来て大満足だった。


「本当に良かったの?」
「何が?」
「その、お金……」
「ああ、平気だよ。俺の方が誘って連れて来たんだから亜夢は払う必要無いって。こういう時は素直に奢られてくれたらいいんだよ」
「……うん、分かった。ありがとう、凄く美味しかった」
「気に入って貰えて良かったよ」

 何だか凄く申し訳無い気はするけれど、百瀬くんは言い出したら聞かないところもあるし、絶対に折れる事はないので、ここは言われた通り私が引く事になった。

 時刻は二十一時、流石にもう帰るのかと思いきや、車は自宅のある方向とは別の方角へ向かっていく。

「あの、百瀬くん」
「何?」
「その、マンションの方角とは違ってる気がするんだけど……」
「ああ、この辺りにちょうど良い所があるんだよね。ちょっと寄り道してから帰ろうと思って」
「ちょうど良いって?」
「それは、着いてからのお楽しみ」

 何やら意味深な言葉と笑みを浮かべた百瀬くんはそれ以降何も口にする事は無く、ひたすら車を走らせていくので私は不思議に思いながらも目的地に辿り着くのを待っていた。

 すると、車は高台へとやって来て、周りにもちらほら車が停まっている中、他の車とは少し離れた場所に停めて、『着いたよ』と笑顔を向けて来た。

「降りよう」
「え? あ、うん……」

 ドアを開けて百瀬くんは車を降りたので、私も慌てて車から降りる。

 そして、手を引かれて木々が生い茂る小道のような所を通り抜けたその先には、

「うわぁ! 綺麗!」

 遮る障害物が何も無く、これでもかというくらい辺り一面に輝く綺麗な星空と街の灯りや車のテールランプが彩る夜景が広がっていた。
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