妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
 驚く私に気付いた百瀬くんは、周りに気付かれないよう少しだけ口角を上げると、人差し指を立てて唇に当てるしぐさをする。

 恐らく、周りには自分たちの関係を内緒にしようという事だと、私は瞬時に理解する。

 それは勿論、合コンという場ではそれが一番良い選択だと分かっているから知り合いでましてや恋人同士という事は黙っているつもりだけど問題はそこじゃなくて、何で百瀬くんがここに居るのかという事なのに、それを聞く機会がないまま私たちは店の中に入り、個室へと案内された。

 今日の合コンは男女五人ずつの合計十人、良子先輩とその知り合いの男の人が主催の集まりで、女性陣は皆同じ職場の様々な部署から集められ、男性陣は皆大手企業に勤める優秀でイケメンが集められていた。

 各自自己紹介をしていく中で、百瀬くんは参加予定だった先輩の都合が悪くなって代わりに来たと言っていたのだけど、多分それは嘘だと思った。

 私と百瀬くんは偶然にも向かい合わせに座る事になって、皆が話をする中、私は彼が気になり過ぎてチラチラと向かい側に視線を向けていると、それなりに周りと会話を交わしていた百瀬くんが急に私に話を振ってきた。

道枝(みちえだ)さん、さっきから全然飲んでないけど、どこか具合でも悪いの?」
「え? い、いや……別に、そんな事は……」
「ふーん? それじゃあ折角だし、もっと食べたり飲んだりした方がいいよ? 楽しまないと」
「う、うん……そう、だよね」

 百瀬くんに苗字で呼ばれるのも不思議というか変な感じだし、こんな状況を楽しめと言われても複雑で何だか楽しめない。

 百瀬くんは朝と同じで黒髪眼鏡の変装スタイルのままなんだけど、お酒が入ったせいか、顔合わせの時よりも饒舌になっていて、周りとも打ち解けて楽しそうに会話している。

 特に、良子先輩や他の女の人と話をしている彼を見るのは凄く複雑で、胸の奥がモヤモヤして仕方が無かった。
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