妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
 それからというもの、有紗の番号もメッセージアプリのアカウントもブロックしているので連絡が来ないのは当たり前だけど、あれ以降姿を見せる事もしなかったので、警戒心は少しだけ緩んでいた。

 そんな、ある日の事――。

 珍しく母親から電話が掛かってくる。

「もしもし」
『亜夢? 久しぶりね』
「うん、そうだね」
『元気にしてるの? あなた、全然連絡よこさないから心配してるのよ』
「元気でやってるから、心配しないで。それで、何の用なの?」
『実はね、あなたに良い縁談があるのよ』
「縁談?」
『あなたももう良い歳じゃない? この前有紗から聞いたけど、御付き合いしていた彼と別れたらしいじゃない。有紗が今は相手もいないようだからって言ってたわよ?』

 その言葉に、私は酷く苛立ちを覚える。

 彼氏と別れたって、その原因を作ったのは有紗だし、今は百瀬くんと付き合ってるのを知っているくせに、わざと嘘をつくのだから。

「折角だけど、私今、御付き合いしてる人がいるから、縁談は受けられないよ」
『ええ? 相手の方、かなり良い方なのよ? お母さんの職場の社長の知り合いの方で、亜夢の写真を見せたら先方が気に入ってるのよ。会うだけ会ってみても良いと思うわよ?』
「そんなの知らないし、勝手に話を進められても困るよ」
『あら、薄情な子ね。折角あなたの為を思って話を受けてきたのに』

 私の為なんて、そんなのは嘘。

 私が良い家柄の人と付き合って結婚すれば、自分の老後も安泰だとか思ってるに違い無い。

 父も母も、昔から私の事なんて無関心なんだから。

「とにかく、私は彼の事が好きだから、縁談を受ける事は出来ない。お母さんの方できちんと断ってよね」
『……はいはい、分かったわよ。あのね、誰と御付き合いするのも構わないけど、きちんと相手を選ばないと後悔するわよ? あなたは昔から要領が悪いんだから』
「……分かってる。とにかく大丈夫だから、心配しないで。それじゃあね」
「あ、ちょっと、亜夢――」

 まだ何か言いた気な母を無視して、私は一方的に電話を切った。

「……はぁ……」

 思わず溜め息を漏らすと、

「亜夢」
「あ、百瀬くん、おかえり」
「……今の話、何? 縁談がどうとか、聞こえてきたけど」

 コンビニに買い物へ行っていた百瀬くんが帰って来ていて、母との電話をしていた私の声が聞こえていたらしく、心配そうに問い掛けてきた。
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