妹に彼氏を寝取られ傷心していた地味女の私がナンパしてきた年下イケメンと一夜を共にしたら、驚く程に甘い溺愛が待っていました【完】
 再び母から電話が掛かってきて、『この前の縁談、あなたの代わりに有紗が受けてくれたのよ』という話を聞いた。

 私の代わりに縁談を受けた有紗。

 しかも、母に頼まれた訳では無く、自ら進んで受けたという。

 一体何を考えているのか、私と百瀬くんは有紗の考えや行動に戸惑うばかり。

 そして、母親経由で有紗が受けた縁談は上手くいき、結婚を視野に入れながらの交際を始めたという話まで聞く事になった。


「……俺と亜夢が駄目になる事が無いと確信して、諦めた……とか?」
「うーん、私には、そんな風には思えないんだよね……」

 有紗と付き合う事になった男の人は私と同い歳で教師として中学校に勤めていて、温厚で心優しい人だとの事。

 今までずっと私から全てを奪わないと気が済まないはずの有紗がそんなに簡単にお見合いした相手と付き合うなんて、やっぱり納得がいかないのだけど、

(もしかしたら、心を入れ替えた……とか? 百瀬くんの言う通り、私たちの仲を引き裂くのは無理だと考えて、自分も幸せになろうとしてるとか?)

 有紗の中にもどこか後悔とか反省する気持ちが芽生え、自分の幸せを考えるようになったのかもしれない。

 そうだったらどんなに良いかと思っていた。

 それから数週間が過ぎた頃、

「…………」
「亜夢? どうかした?」
「え? あ、ううん、何でもない」
「本当に?」
「うん、本当に大丈夫! ごめんね」
「ならいいけど……何かあったらすぐに言ってよ?」
「うん、分かってる」

 そう答えはしたけど、私はここ数日、誰かに見られている気がしていた。

 でもあくまでも視線を感じる程度で、何かある訳じゃない。

 振り返るとその視線は消えるし、最近まで有紗の事を疑っていたせいで神経が過敏になっているだけだと。

 確証も無いのに百瀬くんに心配を掛けたく無かった私は、この場で視線については何も言わなかったのだけど、実は百瀬くんはこの時点で既に視線に気付いていたと後に知る事になる。
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