狼上司と秘密の関係
ついさっきまで満月を見ていたから、こんな変なことを考えてるんだわ。
そう思って左右に首をふる。

「菊池さん、救急車を――」
「大丈夫だから」
千明の言葉を遮って大和は自分で体を起こした。

重たい体を引きずるようにしてパソコンへ向かい、電源を落とす。
「だけど辛そうです。誰か呼んだほうが」
「大丈夫だと言ってるだろ!」

突然怒鳴られて体がビクリと跳ねる。
普段の大和では考えられないような低く、威嚇するような声に全身がすくんだ。
「大きな声を出してごめんな。でも、本当に大丈夫だから」

無理やり笑みを浮かべる。
その額には汗が滲んでいた。
こころなしか顔色だって悪い。

やっぱり放っておけない!
「それなら一緒に駐車場まで行きましょう」
千明の提案を、今度は拒否しなかった。
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