狼上司と秘密の関係
千明が子供好きなことを知っているから、気をきかせてくれているのだろう。
梨江は千明よりも3歳年上で今年30歳になる。

まだまだ若々しくて、今日みたいに子供のお客様が多い時には1人で駆け回っている。
梨江の右隣にいるのは石川晋也。

梨江よりも5つ年上の35歳だ。
スラリと手足が長い長身で、高い場所にあるものを取ってもらうときには必ず晋也に声をかけている。

あまり表情を表に出さないから何を考えているのかわからないのだけれど、梨江はミステリアスなところがかっこいいと言っている。
子供会が体験を終えて施設を後にしたのがちょうどお昼時だった。

一旦体験施設を閉めて同じ建物内にある休憩室兼、事務所へ向かう。


「お疲れ~」


一足先に休憩室にいた上司が気さくに声をかけてくる。
菊池大和、30歳だ。

大和はパソコンへ向かってなにか作業をしていたようで、千明たちが入ってくると両手を伸ばして大きくアクビをした。


「ダメだなパソコン画面見てたらどうしても眠くなる」


アクビのせいで目に涙が浮かんでいる。
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