ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
「ようやくです。デビューしてから十年かかりました。ここから売れて、有紗の両親に認めてもらおうって意気込んでいたのに、このザマです」

 悠斗君は、遠くを見つめながら苦笑いを浮かべた。

 なんて言ったらいいのかわからなかった。上辺だけの励ましの言葉を求めているわけではないことはわかる。

「挙句の果てに、有紗の結婚相手は藤堂寺家ときた。どうしてよりにもよって藤堂寺家……」

「貴富さんを知っているの?」

 私の問いに、ずっと遠くを見つめていた悠斗君は、初めて私の顔を見た。

「知っていますよ。いい奴ですよ、あいつは」

「え、どうして知っているの⁉」

 どこで出会ったのだろう。社長と悠斗君との接点がまったく想像つかない。

「昔、ちょっと。有紗のお見合い相手が藤堂寺家だと電話を盗み聞きしてしまって、それでどうしてもお見合いしてほしくなかったのです。それがこんなことになるなんて。俺、藤堂寺家に呪われているのかな」
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