ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
 悠斗君と藤堂寺家の間になにがあったのだろう。呪われているなんて物騒な言葉を使うくらいだから、因縁があるように見える。

(聞いてもいいかな? 知りたい)

 迷っていると、悠斗君の顔が一瞬で変わり笑顔になった。

「駅に着きましたよ。気をつけて帰ってください」

「あ、うん」

 手を振って悠斗君と別れる。悠斗君は私にこれ以上聞かれたくないようだった。

 電車に乗り込んで、真っ暗な外の景色を上の空で見つめる。

(呪われているのは、私だって同じだよ。どうして憧れだった人が、親友と結婚することになるのだろう)

 結婚式に参加するとき、妊娠の報告を受けたとき、出産のお見舞いに行ったとき、私は心から祝福できるだろうか。

 胸が引き裂かれそうなくらい辛い。笑って、おめでとうって言えるだろうか。

 目から涙が零れ落ちたので、慌てて拭う。

(しっかりしろ、辛いのは私だけじゃないのだから)

 一般家庭で育った私にとって、今どき政略結婚があるなんて信じられない。

 でも、生まれたときから莫大な富を手にしているということは、引き換えになにかを差し出さなければいけないのかもしれない。

 人生とは案外、平等なのかもしれないと思った。

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