ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
「ごめんなさい、騙していて」

 深々と頭を下げると、社長は慌てた様子を見せた。

「いいや。きっと事情があったことは推察できるし、有紗さんの代わりをしてお見合いに来てくれなかったら出会えていなかったかもしれない」

 確かに、これまで同じ会社にいたにも関わらず接点はなかった。

 あんなことをしなければ、互いに会話さえ交わすこともなかっただろう。

 それが、いいのか悪いのかは置いておいて。

「結婚、するのですよね」

「どうしてそれを」

 社長は驚き、気まずそうに言葉を失った。

 社長と私には、越えられない身分差がある。将来を共にすることはできない間柄だ。

「結婚する気はないって言っていませんでしたか?」

 つい責めるような物言いになってしまった。有紗と社長の結婚は、どうしても祝福できない。有紗の気持ちもそうだし、社長も有紗のことを好きで結婚するとは思えないからだ。
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