ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
「そうだったのだが、色々と誤解が生じて大変ややこしい展開になっている。なんとか東雲家との縁談はなかったことにしたいが、簡単にはできなさそうだ」

 社長も困っている様子がひしひしと伝わってきた。

 なんとか結婚を白紙にできたとして、それで解決とはいかないのが難しいところだ。

藤堂寺家の融資がなければ東雲家の経営は危機に陥る。

互いに無言になる。牛丼はもう空だ。

「外に出て、少し話さないか?」

社長の申し出に頷いて店を出た。

街路樹の端に並ぶ木々は、色とりどりに染まり始めた葉を揺らしていた。

目的地も決めずに歩き出す。社長の隣を歩くことが嬉しい。ずっと一緒にいられればいいのに。

「俺と結婚しないか?」

「ええ⁉」

 いくらなんでも唐突すぎる。シチュエーションもタイミングも今じゃない感が凄い。

 これはプロポーズなのだろうか。告白なのだろうか。それすらもわからないくらい、めちゃくちゃな申し出だ。
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