ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
 プロ顔負けの貴富さんの手料理を食べて、昨日有紗に選んでもらった服に袖を通す。

「お待たせしました」

 すでに用意を終わらせていた貴富さんは、私の姿に目を見張った。

「雰囲気が変わったね」

 化粧をしていっても落とさなくてはいけないし、職場に華美な服装は不釣り合いなので、シンプルだけれど上品でスタイル良く見える服を有紗に選んでもらった。

 化粧はせず眼鏡も外し、髪を下ろした状態で、クリーム色のボウタイシャツにグレーのセンターシームパンツ、そしてベージュのトレンチコートを羽織る。バッグは有名高級ブランドではないけれど、上質な黒皮のショルダーバッグだ。これにパンプスを履く予定。

「今までがダサすぎたのよと有紗に言われました」

 学生じゃないのだから、通勤服くらいオフィスカジュアルを着なさいと怒られた。

 制服がクリーンウェアみたいなものだったし、ほぼ研究室にいるのでオシャレする必要性もなかった。それに、男性陣も似たような服装だったので何も言われない。むしろあの恰好の方が現場に馴染んでいたと思う。
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