ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
 貴富さんは謎の笑みを浮かべて、護衛するように私の腰に手をまわした。

 そして貴富さんが運転する車で出勤する。

私が住んでいたアパートは会社から歩いていける距離だったけれど、貴富さんのマンションからは電車を使った方が早い。だから、帰りは電車で帰ってこようと思っていたのだけれど、タクシーを使うようにと言われた。法人契約しているタクシーがあるらしく、アプリとパスワードを教えてもらった。

貴富さんは複数の会社を所持しているので、一緒に通勤できない日もある。その時もタクシーを使うように言われた。

「電車で大丈夫ですよ」と言ったのだけれど、「駄目だ」と一蹴された。こういう時の貴富さんは有無を言わせない迫力がある。

 会社に着くと、私の腰に手をまわし、「俺の女だ」と周囲にわざと誇示するように歩きだした。社員は物珍しそうに遠目に見ているけれど、驚くような様子はない。誰も私が社員であることに気がついていないようだ。

 さらに役員の方が社長の出勤に気がつき、駆け寄ってきた。
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