ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
「紹介します、婚約者の田中芳美さんです」

「初めまして、田中芳美と申します。本日はお時間をいただきありがとうございます」

 貴富さんに紹介されて挨拶をするも、おばあ様は気に入らないと言いたげに、嘲るように鼻を鳴らした。

「東雲家と結婚するのではなかったのかい?」

 不穏な空気を察し、お父様が助け船を出した。

「母さん、今どき政略結婚なんて古いよ。今は令和、自由恋愛の時代だ」

「そうです、お母様。貴富は結婚なんて一生しないのではないかと私は気を病んでおりましたので、貴富が結婚したい子がいると言われた時は感動いたしました」

 お母様も助太刀してくれた。お父様とお母様が結婚に賛成してくれているというのは本当みたいだ。

「もしも貴富が結婚しなかったのなら、あんたの育て方が悪かったせいだよ」

 おばあ様の言葉に、お母様は下を向いてしまった。

(なんて酷いことを言う姑なのだろう。お母様がかわいそう)

 長年の苦労を思い、自分のことよりも怒りが湧いた。
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