ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
 貴富さんがババア呼ばわりしていた気持ちがよくわかった。

「藤堂寺家が長年大切にしてきたのは、血筋なのだよ。華族であることが大事だ。これまでの歴史を途切れさせるわけにはいかない」

 なるほど、政略結婚とはいっても経営繁栄のための政略結婚ではなく、華族制度の名残だったのか。

 すると貴富さんはおばあ様に反論した。

「でも、芳美のお腹の中には俺の子どもがいます。血筋よりも新たな命の方が大事でしょう?」

 お父様もお母様も、肯定するように何度も頷く。すると、おばあ様は場が一瞬で凍りつく発言を平然とした。

「愛人にすればいいだろう。藤堂寺家の後を継ぐのは、純潔なる華族であらねばならない」

 この発言には温厚な貴富さんでもさすがに許せなかったらしく、身を乗り出しておばあ様に掴みかかろうとしたが、お父様に制された。

 正直いって、このタイプはいくら説得しても無駄だ。
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