身代わりお見合い婚〜社長に溺愛される365日〜
　ここはどこだろう。

ホテルの部屋のように綺麗だけれど、これはどう見ても寝室。

　私は誰のベッドで寝ていたのだろう。なぜここにいるのだろう。

　どうしたものかと思案に暮れていると、いきなりドアがガチャリと開いた。

「目覚めたんですね。具合はどうですか？」

　入ってきた人物は、案の定というべきか、社長だった。

上半身を起こしている私を見て、社長はほっとした安堵の笑みを浮かべて近寄る。

「具合は大丈夫です。それよりも、ここは？」

「僕の家です。病院に連れていくべきか迷ったのですが、病院は時間帯によっては研修医などが担当する場合がありますからね。

大事な有紗さんを信頼できるかわからない医者に診せるわけにはいきません。

うちの会社のとても優秀な専属主治医に診てもらいました。

寝ているだけで問題ないとのことだったので、我が家に運びました」

　社長はお見合いの席でのスーツ姿ではなく、白のトップスに黒のパンツというラフな格好だった。

シャワーを浴びたのか、セットされた髪ではなくサラサラの前髪が靡いている。
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