身代わりお見合い婚〜社長に溺愛される365日〜
祐樹は、おつまみ数種類を載せた皿を持っていた。デザートビュッフェの他に、立食ビュッフェコーナーもあるので、それを持ってきたらしい。

 ソファ席が空いていたので、祐樹と座った。するとすぐに数種類のお酒が載ったお盆を持つスタッフが来たので、ワインをもらう。

「色々なアングルで撮ってほしいと指示していただけだ」

「嫁の写真を大量に欲しがる奴はそうそういないぞ」

「そうか?」

「まあ、いい。とりあえず結婚おめでとう」

 祐樹はグラスを掲げたので、俺もグラスを軽く持ち上げて一口飲んだ。

「いい結婚式だな。二人の穏やかな人柄が表れている」

「芳美さんの人徳さ」

 遠くで友人たちに囲まれながらデザートを食べている芳美さんを愛しい眼差しで見つめながら言うと、祐樹は眉間に皺を寄せた。

「おい、いまだにさん付けで呼んでいるのか?」

「さん付けだけじゃない。いまだに互いに敬語だ」

「いやおかしいだろ。なんでそんなによそよそしいんだよ」
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