身代わりお見合い婚〜社長に溺愛される365日〜
 祐樹の言葉に、むっとして反論する。

「よそよそしいわけじゃない。芳美さんは俺にとって尊くて敬うべき存在なんだ。軽々しい言葉使いをしたら失礼だろう」

「推しのアイドルと結婚した奴みたいだな」

「そんな軽いものじゃない。互いに尊敬しあっているからこそだ。だが、敬語がなくなる時もある」

「へえ、どんな時だ?」

「まあ、ベッドの上とか」

「……あっそ」

 祐樹は白けた目をして言った。

 聞いてきたから答えたのに。

「ああ~、まさか貴富に先を越されるとはな」

 祐樹は悔しそうに天を仰いだ。

「日頃の行いだ」

 祐樹は恨めしそうな目つきで俺を見据える。反論してこないところを見ると、多少心当たりがあるのだろう。仕事はちゃんとしているが、女性関係にだらしないのはよくない。

 まあ、でも祐樹も運命の女性に出会えたら変わるだろう。俺みたいに。
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