ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
「いや、ダメです! 遅刻します!」

 社長の腕をほどき、ベッドから起き上がる。

(ああ、どうしよう、着るものがない)

 さすがにバスローブ姿で外には出られないだろう。

「すみませんが、服を貸していただいてもいいでしょうか⁉」

 私がバスローブを羽織って、裸体を隠すと、社長も起き上がってズボンを履いた。

「もちろんいいけど、どういうのだったら着られるだろう?」

 社長がクローゼットを開けて、ずらりと並んだ服を見せる。

「ちょっと失礼します!」

 時間的に焦っていた私は、失礼を承知で社長の服を物色した。

 下着がないので、黒のタンクトップを着て小さめのTシャツを選ぶ。スポーツウェア用の短パンがあったので、それを履き、落ちないように腰紐をきつめに結んだ。

「これで帰れます!」

 満足げに笑みを浮かべると、社長が心配するような顔を見せた。
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