ご令嬢ではありません!~身代わりお見合いだったのに、敏腕CEOが執愛に目覚めたようです~
「え? うん、全然気づかれなかった」

 心臓が縮まるようにひやりとする。

「それなら良かった。そういえば後から思い出したのだけど、あの社長って、芳美が学生時代に心酔していた人じゃなかったっけ?」

 お~、痛いところを突く。学生時代の時にちらっと言ったことを覚えているのだから凄い。有紗は自分の過去は忘れやすいが私のことになるとよく覚えている。

「そうだけど、あまりにも遠い人すぎて、芸能人と話しているような気分だった」

「そっか。でも、芳美が身代わりしてくれて本当に助かったよ。ありがとう」

「いや、そんな」

 盛大な失敗をやらかしてしまって、まさかお見合い相手と一夜を共にしてしまったなんて言えない。有紗にも迷惑をかけてしまう。
 今日で終わりにしなくては。複雑な思いで覚悟を決める。

 そうこうしている間に、有紗の手によって化粧が施されていく。

「芳美は元がいいから化粧のしがいがあるわ~。別にそこまで目が悪いわけじゃないのだから眼鏡は外せばいいのに。もしかして、まだあの時のこと気にしているの?」
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