身代わりお見合い婚〜社長に溺愛される365日〜
社長はなにも悪くないだけに、言葉を返すことができなかった。無視するような形になりながらも、小走りで玄関を飛び出した。
「あの、有紗さん!」
「来ないでください!」
追いかけてこようとする社長を大声で制して、走ってエレベーターホールに向かった。
社長は『来ないで』と言われたので、戸惑う様子を見せながら立ちすくんでいる。
運がいいことに、すぐにエレベーターが開いたので、乗り込んで「閉」ボタンを押した。
(これでいいんだ、これで……)
誰もいないエレベーターの密室の中で、声を押し殺して泣いた。
(さようなら、私の初恋)
失敗続きの不器用すぎる恋だった。
好きになってはいけない人だったのに。テレビ越しの芸能人を応援するように、遠くから眺めていれば良かったのに。
知らない間に欲が出てしまった。社長に愛されたいという欲が。
今日でもう終わり。もう二度と社長とは会わない。
(さようなら、社長)
「あの、有紗さん!」
「来ないでください!」
追いかけてこようとする社長を大声で制して、走ってエレベーターホールに向かった。
社長は『来ないで』と言われたので、戸惑う様子を見せながら立ちすくんでいる。
運がいいことに、すぐにエレベーターが開いたので、乗り込んで「閉」ボタンを押した。
(これでいいんだ、これで……)
誰もいないエレベーターの密室の中で、声を押し殺して泣いた。
(さようなら、私の初恋)
失敗続きの不器用すぎる恋だった。
好きになってはいけない人だったのに。テレビ越しの芸能人を応援するように、遠くから眺めていれば良かったのに。
知らない間に欲が出てしまった。社長に愛されたいという欲が。
今日でもう終わり。もう二度と社長とは会わない。
(さようなら、社長)