難攻不落の女
「私のことを優しいと思うなら、それも勘違いだから。私は人には親切にするのは、自分が仕事をやりやすくするためだよ。なんでそんなことをするかっていうと、若い子の方が頭の回転速くて、仕事ができるから。実際には勝てる所なんて一つもないのよ。やだなあって思うよ。私、そういう子達の上にいるのよ、上司面してさ。酔ってもいないのに、なんでこんなこと話してるんだか」

「宇美さん」
 突然手を取られて、足を止めた。
 今度は一体なんなんだ。

「もう一軒行きましょう、連れて行ってください」
 ついさっき、想いには応えられないと伝えたばかりだ。

「たしかに俺は、宇美さんのこと勘違いしてたかもしれません。でも、今話したらもっと宇美さんの考えてることが知りたいなって」
「ええ? もし飲むのなら、新井くんたちと合流希望」

 スマホを出そうとすると、今日のためにみんなに協力してもらったのに、と笹目が落ち込み始める。
 なんの駆け引きもなく、真正面からぶつかってきて、どうやって年上の女を落とす気だったのか疑問だ。だがそこで悩んで立ち止まるタイプなら、思い切った行動には出られないだろう。
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