難攻不落の女
■4

 月に一度の部長会議を終え、挨拶を終えてミーティングルームを出ると、宇美は化粧室に立ち寄った。鏡を正面からじっと見て、眉間に皺を寄せた。

「わからんな、やっぱり」
 同じ部署の若い社員の方が、肌には張りがあるし姿形が良い。それに、笑顔美人が揃っている会社だ。

「終わった話だけど、理由を解明したくはあるんだよな。性格は良くないし、全盛期ですら自分を美人だともかわいいとも、思ったことないからな」
 二人で飲み直したときには、やめろと叫びたくなってくるほど、褒めちぎられた。だが、どう考えても彼と同年代の女性の若さには敵うわけもなく、ましてやこちらには色気もない。自分のことをそれなりにわかっているだけに、言葉が響いてこないのだ。

 髪に指を通して、紺のストライプスーツの埃を払う。今月に入って新調したばかりのものだ。二十代の頃と、同じ号数が着られることだけが、唯一の救いだ。

 化粧室を出て、エレベーターを待つ。
 笹目は来ているだろうか。深呼吸をして人事部に向かう。表に彼の姿はない。人事部内に入ると、笹目が社員の一人と談笑していた。目が合うとすぐに姿勢を正して、会釈してきたが、顔は強張っている。
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