🆕足湯と君は居場所【BLピュア】
 赤井が優香ちゃんだと知った日から、教室でいつも赤井を目で追ってしまっている。

追いすぎて、最近気がついたことがある。赤井は女装している時とは違う。学校では女装している時よりも不器用な表情をしていて、黄金寺以外には自分から用事がない限り話しかけることはしない。

 女装をしていない方の赤井も知ってゆく――。

 俺の心の中ではふたつの感情がせめぎ合っていた。騙されたんだと無理やり冷めようとしている自分と、まだ女装していた赤井に想いを抱き、諦めたくない自分。

 同一人物だと気づかなかった自分に恥を感じて苛立ち、そして頑張って優香ちゃんに会いに行ってた自分が馬鹿らしくも思えてくる。

 赤井の目には俺の言動、どう映っていたんだろう。女装していた赤井と関わると、赤井は優しい性格なんだと知った。だからきっと、騙されている俺をひっそり嘲笑うなんてしていなかったと思う。むしろ気づいてない俺に対して、いつ正体を言えばいいんだろうとか考えていそうだ。

 駄菓子屋には行かなくなった。
 行かなくなったのではなく、行けなくなったが正しい。

 雪が溶けてぐちゃぐちゃな道。
 今の俺みたいだ――。

 

 
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