偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
「響一さん今日はありがとうございました。ずっと運転して疲れたでしょ?」

 リビングのソファに座る響一に花穂はすっきりしたジャスミンティーを差し出し、自分も少し間を空けて隣に座る。

「疲れてないから大丈夫。花穂の生まれ育った町をゆっくり観光出来て楽しかったよ。お義父さんとの話も楽しかったよ」

「本当? それならよかった……それから、輝さんのことごめんなさい。嫌な気分にさせてしまって」

 帰り道車内でふたりきりになっても響一は輝のことに言及しなかった。それは花穂に気を遣ってくれたからだろうが、不快に感じているのは間違いないだろう。

(あのとき珍しく怒った顔をしていたもの)

 響一は少し迷った様子を見せてから、口を開いた。

「もし嫌じゃなかったら、元婚約者とのこと話してくれないか? 彼の花穂に対する態度は常識的じゃなかった。心配なんだ」

 言葉の通り響一は心配そうに花穂を見つめている。

「……きっと、気分が悪くなる話だけど、それでもいいですか?」

「もちろん。何か有ったときに事情を何も知らないままだと適切な対応ができない。それに花穂のことをもっと知りたいんだ」
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