偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる

「普通はわざわざ相手を傷つけるような言葉は言わないものでしょう? だから黙っていたけど、ストレスは溜まるから輝さんへの印象は悪くなる一方だった。でもそのおかげで、彼に酷いことを言われても、心底傷つくことはなかったからよかったのかもしれない」

「……そうか」

「輝さんのことは全く好きになれなかったけど、それでもいずれは結婚するつもりだった。あの頃の私は父が決めた縁談に逆らうって考えがなくて、そういうものだと思っていたから。でもね、輝さんの態度はますます悪くなって堂々と浮気をするようになっていったの。地元では噂が早いから私もすぐに知ることになって」

 響一の目が険しくなる。「最低なやつだな」とぼそりと呟く声はかなり怖い。

「そ、それでさすがに私も文句と言うか注意をするようになって、でも私のそんな態度が彼にとって不快だったみたいで怒らせてしまったんです。次第に怒り方がエスカレートして最後の方は顔を合わすだけで嫌味を言われたり……そんなある日、決定的なことが起きました」

「決定的?」

 花穂は頷き顔を曇らせる。あのときのことは今思い出しても気が滅入る。出来れば忘れてしまいたい記憶だ。
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