偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
 一通り話し終えるとほっとした気持ちになった。これで響一に隠していることは何もないという解放感からかもしれない。

「……大変だったんだな」

「そうですね。でも家を出たことはよかったとも思ってます。それまで父の言いなりで将来の夢も無かったか私が、好きなことを見つけられたから」

 年を重ねただけで自立出来ていなかった自分の甘さを知ることも出来た。

「家を出てからカフェの夢を持ったんだよな。自由に生きていたのにまた家の為に見合いをすることになって辛かっただろう」

 花穂は「そうですね」と言いかけたが、ふと疑問を感じて口を閉ざす。

(私、今は辛いと感じていないよね)

「父から三年ぶりに連絡が来て母が倒れたと聞いたとき、すごく心配しました。長く離れていたけどやっぱり大切な家族だから」

 あのとき花穂は帰ることを迷わなかった。

「また見合いをしろと言われて実家の状況を知ったときショックで怒りが湧いたけど、でも今まで何も知らずに自分のことだけ考えていた私もよくなかったとも思った。幼い頃から経済的には何不自由なく育てて貰っていたけど、恵まれた環境を当たり前だと思っていたし。そんな私が全て父のせいにするのも違うと思ったんです」

 自分の気持を確かめながらゆっくり言葉にする。

「決心してお見合いしたら響一さんが来たのは驚いたけど、でも結果としてよかったと思ってます」

 そう言うと響一が表情を変えた。
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