偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
(えっ、帰って来た?)
ここ最近の中では驚くくらい早い帰宅。
花穂が玄関に駆けつけると、響一は靴を脱いでいるところだった。彼は勢いよくやって来た花穂に、戸惑いの表情を浮かべる。
「花穂、どうした?」
「ええと……お帰りなさいと言おうと思って」
花穂の返事に響一が笑顔になる。
「ただいま」
彼の笑顔を見るのは久し振りな気がした。
「今日は早いね」
「ああ、ようやく仕事が落ち着いたところ」
「ご飯、食べるよね?」
「俺の分ある?」
「もちろん。すぐに用意するね」
響一は着替えに、花穂はキッチンで手早く作っておいた鍋を温める。
思いがけなく訪れたふたりの時間に、花穂は浮かれている自分を自覚した。
(さっきまであれこれ考えていたくせにね)
自身の浮き沈みに少し呆れながらテーブルセッティングをし終えると、ちょうど響一がダイニングにやって来た。
「今日は寄せ鍋か、美味そうだ」
「朝から寒かったからね、食べよう」
具材は白菜にきのこ取り団子と平凡だが、上品な出汁が染み込みとても美味しい。
響一も満足そうに端を運ぶペースが速い。
「久し振りの花穂の手料理……最高だな」