偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる


 翌朝の八時過ぎ。響一を見送った花穂は家事を済ませるとソファに座り一休みをした。

 昼からカフェの仕事だが、家を出るまであと二時間はある。

(旅行先の候補を調べようかな)

 長期休暇という訳ではないので一泊旅行になるだろう。行きたいところは沢山あるものの、あまり遠いと移動時間ばかりかかって現地で楽しめなくなりそうだ。初めての夫婦の旅行。吟味して選ばなくては。

 早速スマホを手に取り検索をはじめようとしたとき、テーブルの上に置いてある手紙の束に気が付いた。 

 本宅に届き、祖父の補佐役が届けてくれたものだ。

「響一さん宛てのものと、ダイレクトメール……あ、お母さんからも」

 母は病気療養するようになってから、手紙を送って来るようになった。

 元々手紙のやり取りをする習慣がないし、相手が母と言うのにも戸惑いがあった。

 少し面倒でメールにしてくれたらいいのにと思いながらも返事をしているうちに、意外と楽しいと感じるようになり気付けば定期的にやりとりするようになっていた。

 (後で読んで返事を書こう)

「あとは……あれ、間違って届いてる」

 束の中に祖父宛てのものが混じっていた。

 急ぎの内容かもしれないので、すぐに届けた方がいいだろう。
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