偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる

(あのときのお客様は広斗さんの関係だったのかな?)

 祖父の口ぶりからそのような印象を受ける。

「不愉快だが来週も同じようなことがあるかもしれない。花穂さんは前回と同じように気にせず過ごしなさい」

「はい、あの響一さんはそのことを?」

「前回と同様花穂さんの側にいてあげなさいと言ってある」

「……前回同様?」

 その言い方だと、あのとき響一が花穂と一緒に居たようだ。

(響一さんは深夜まで仕事で帰ってこなかったけど)

「この件は響一が関わる必要がないからな。この前もそう言って追い出したんだよ。もしかして文句を言ってたなかな?」

「い、いえ……そうではないんですが」

 花穂は気持がずしんと沈むのを感じていた。

(あの日は仕事じゃなかったの?)

 祖父が響一に離れに帰れと言ったというからには、一度帰宅していたということだ。

 でも花穂には黙っていた。

 しかもただ言わなかっただけではなく、外から電話をかけて来て仕事で遅くなると別の理由を告げたのだ。

(響一さんがまた嘘をついた?)

 彼が不審な行動をするのはこれが二度目だ。

< 165 / 214 >

この作品をシェア

pagetop