偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
(あのときのお客様は広斗さんの関係だったのかな?)
祖父の口ぶりからそのような印象を受ける。
「不愉快だが来週も同じようなことがあるかもしれない。花穂さんは前回と同じように気にせず過ごしなさい」
「はい、あの響一さんはそのことを?」
「前回と同様花穂さんの側にいてあげなさいと言ってある」
「……前回同様?」
その言い方だと、あのとき響一が花穂と一緒に居たようだ。
(響一さんは深夜まで仕事で帰ってこなかったけど)
「この件は響一が関わる必要がないからな。この前もそう言って追い出したんだよ。もしかして文句を言ってたなかな?」
「い、いえ……そうではないんですが」
花穂は気持がずしんと沈むのを感じていた。
(あの日は仕事じゃなかったの?)
祖父が響一に離れに帰れと言ったというからには、一度帰宅していたということだ。
でも花穂には黙っていた。
しかもただ言わなかっただけではなく、外から電話をかけて来て仕事で遅くなると別の理由を告げたのだ。
(響一さんがまた嘘をついた?)
彼が不審な行動をするのはこれが二度目だ。