偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
「響一さん、お帰りなさい」

「ただいま」

 出迎えた花穂に、いつもの優しい笑顔で返してくれる。とても優しい眼差しで花穂の胸はドクンと高鳴る。

(やっぱり好きだな……こうして顔を合わせると、不信感がどこかに行ってしまいそう)

 彼から愛情を感じるだけに、自分から波風たてたくないという悪いところが強く出てくる。

 深刻な話し合いよりも、穏やかに寄り添いたい。

(でも見て見ぬふりしたら絶対に後悔する)

 昔のような失敗はもうしないと決めたのだから。

 さすがに食事中に気まずくはなりたくないから、食べたあとに話を切り出そう。

(大丈夫。悩んでいると打ち明けたら響一さんはきっと真摯に返事をしてくれるはず)

 夫を信じ、自分を鼓舞して声をかける。

「響一さん、食事を先に……」

「あ、ごめん、ちょっと待って」

 丁度どこかから電話が入ったらしい。響一がスマホをスーツから取り出し応答する。

「はい……え? 今から花穂も?」

 邪魔にならないように少し離れようと思ったところに、自分の名前が出て来たので花穂はその場に留まり響一を見つめる。

「分かりました。すぐに行きます」
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