偽装結婚から始まる完璧御曹司の甘すぎる純愛――どうしようもないほど愛してる
「もしかして伊那が言ってた面倒な相手ってあの人?」

 伊那は憂鬱そうに相槌を打つ。

「そう。うちとしても気を遣う相手だからね。プライベートでは関わりたくないけど」

「……もしかして、響一さんのことを気に入ってるのかな?」

「あの容姿だし気に入ってるんじゃない? あの人イケメン好きだし。でも婚約者がいるから略奪しようとかは思ってないはず。ただレベルの高い男と仲良くしたいだけでしょう」

「そ、そうなんだ」

 伊那の態度から、よくある光景なのだと悟った。

(婚約者の人それでいいのかな?)

「花穂としては不快だろうけど、仕事だと思って割り切るしかないね。響一さんは当分戻らないだろうから料理取りに行こう」

「やっぱり戻れないよね」

「さっき、花穂を頼むってアイコンタクトされたからね」

「いつの間にそんな合図送り合ってたの?」

 伊那は響一の側を通らないようにテーブルに向かう。

 近づくと料理の種類は想像以上に多く、デザートまである。

「さ、いただきましょう」

「うん」

 伊那と更に料理を盛り付け、さっきまでいた席に戻る。

「うわ、このマリネ美味しい」

「あ、本当だ!」
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